制御装置が比例制御でない場合の根軌跡
概要
制御の勉強で1個疑問が解けたので記しておきます。
この記事の対象
- 似た疑問を持っている人
本編
厳密でない点などあるかもしれませんが、そこは目をつぶって書いていきます。
根軌跡とは
基本的なことは分かっている前提で、さらっと説明します。
図のようなフィードバック回路を考えます。rが入力、yが出力で、制御対象G(s)をフィードバックゲインKを操作して制御します。
このとき、システムの安定性は閉ループの伝達関数の特性方程式を調べることでわかります。
一巡伝達関数は上の式になるので、特性方程式はとなります。
この特性根、つまり一巡伝達関数の極が全て負であればシステムが安定です。
そして、この特性根がフィードバックゲインKの値の変化によってどのように移動するかを複素平面上の軌跡として表したものが、根軌跡です。
で動かします。
根軌跡法とは
根軌跡を書く1番直感的な方法は、特性方程式を解いてをパラメータを用いて表すことかと思います。
しかし、特性方程式がの高次式だと解析解を求めるのは難しかったり、複雑だったりして大変です。
そこで存在するのが根軌跡法です。
これは、根軌跡についての性質をまとめたルールブックのようなもので、図1の一巡伝達関数が
という形で表されるとき(既約とする)、
- 根軌跡は実軸対象である
- 根軌跡は、一巡伝達関数n個の極をスタートし、m個は零点に収束し、残りは発散する
- 実軸上の根軌跡は、零点と極で区切られる範囲のうち右から奇数番目の部分になる
- 発散する根軌跡は、を通り、の傾きの直線に漸近する
- 実軸上で根が分裂する点は、を満たす。
というものです。
これを頭に入れておくことで、根軌跡を書くのはかなり楽になります。
実際僕も恩恵を受けていたのですが、先日こういう問題に出くわしました。
これのを動かしたときの根軌跡を求めよという問題です。
これはつまり、今まで考えてきた比例制御器の定数が
に変化したということです。
この場合の根軌跡も同じように考えていいのでしょうか。
制御器Kが定数でない場合の根軌跡
結論から言ってしまえば、全く同じように考えてはいけません。
しかし、この問題の場合、式変形して工夫することで同じように考えることができます。
となります。
ここで、分子だけ考えて再び式変形してみます。
と変形できますね。
これはつまり、特性方程式だけ考えるならば、フィードバックゲインと[tex:G(s)H(s)=\dfrac{1}{s3+s2+3s}]というシステムと同等ということです。
このように、式変形により根軌跡法が使える別の特性方程式の形に持っていくことができました。
こうなればあとは普通に根軌跡が書けると思います。(図を描くのがめんどくさいので、省略します)
まとめ
根軌跡法は基本的に、図1のシステムに対し使える裏技みたいなもののようですが、うまく式変形することで使える形に持っていくことができるのだという個人的な結論に至りました。
1日くらい悩んで、周りに聞ける人もいなかったのでyahoo知恵袋で聞いたら、すっきりとした答えが返ってきて助かりました。
またなにかあれば記事書きます。