セイレンチュウ..

渡る世間は鬼ばかり

概要

最近の炎上ごとを見ていて思ったことです。

この記事の対象

  • 暇な人
  • ちゃんと議論をする気がある人
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    本編

    こんにちは、alumiです。
    最近よく有名人がネットで炎上して謹慎なんて記事をよく見かけます。
    今回は「宮迫たちの闇営業問題」「レペゼン地球の炎上商法」を具体例に、自分の意見を書いていきたいと思います。

割と世間一般から見ると過激だったり、異端だったりする意見だと思います。
しかし「なんだこれは」と思った方も、なるべく冷静に読んで、なるべく理路整然とした反応を下さると嬉しいです。

闇営業問題について

人は見たいように見て、聞きたいように聞いて、信じたいものを信じる。

20世紀少年だったか、こんな言葉がありました。

宮迫さんはまさにこんな感じに、自分の忘れていた(本人主張)直営業が実は反社組織相手だったことを知り、ギャラをもらった記憶が曖昧だったのいいことに、「ノーギャラ」と嘘をつきました。
本人の言い訳によると、打ち上げ代とかで結構ギャラを使ったからほぼノーギャラ、という解釈でそう世間に説明したわけです。

実際こういった嘘をついたことがある人は世の中に大勢いるかと思います。本当は宿題はほぼせずに遊んでいたけど、少しだけやったのもまた事実なので「少しやったよ」→「やったよ」と「少し」の部分を心の中で削って発信するのです。
後ろめたさを消す裏技です。
「ほぼ」とか「多分」とか日本語にはニュアンスをぼかす言葉が多くありますから、嘘と事実を織り交ぜた言葉をまず作っておいて、後ろめたくない、後から言い訳しやすい嘘に錬金するのです。

普通の人間は心の弱いところもあるので、この手法で嘘をつく行為自体をめちゃくちゃに非難しようとは思いません。
しかし、宮迫さんほどの有名人が、世間の注目を浴びている状態でこの嘘をついてしまったのは、まさに初動をミスったとしか言いようがありません。

まず、初動で宮迫さんには二つの選択肢がありました。
もちろん、本当のことを話すか、お金はもらっていないと嘘をつくかの2択です。

嘘がバレないという前提の元ならば、もしかすると前者より後者の方が叩かれ方は穏やかかもしれません。実際本人もそう考えて後者を選択したのかもしれないです。

しかし、後者には嘘がバレた場合、激しく叩かれるというリスクが潜んでいます。これを彼は低く見積もりすぎていたということです。

嘘はバレなければ嘘ではありません。シュレディンガーの猫みたいな話です。
ですので、嘘をついたのなら絶対にバレてはいけませんでした。

しかし、週刊誌の追撃により、その嘘はバレてしまった。そして結果的に本当のことを話すという選択肢より激しく非難が集中してしまう結果となったわけです。

つまり彼は選択に失敗しました。

しかし、僕が今回話したいのはここからです。

彼がしたことを改めてまとめてみると、「反社会的組織集団と知らずに直営業に行って、報酬を受けとった」です。
これが現時点(7/21)での真実です。

そして彼が受けた処遇は「吉本からの契約解除」です。

これだけ見るとあまりに釣り合っていないと感じるのはおそらく僕だけじゃないでしょう。

では何が彼をここまでの処遇に至らしめたのか。
それは世間の怒りに他ならないかと思います。

宮迫の番組はもう見ないと発言するだの、スポンサーに苦情の電話を入れるだの、世間が叩きに叩いた結果がこれなんです。

叩いている人が間違っているとは絶対に言いません。宮迫さんが詐欺集団からお金をもらっていた、そしてそのことを隠していたことは紛れもない事実です。

しかし、叩いている人の言う「詐欺被害にあった人の気持ちを考えろ」とか「嘘をつくなんて最低だ」とかって本当に心の底から思っていることですか?

詐欺被害にあったことのある身内や知り合いがいないのに、その「詐欺被害にあった誰か」を慮ってそんなに怒れるんですか?しかも実行犯でもない人を。
嘘をつくなんて最低だ、確かに最低かもしれません。しかしおそらくあなたも過去幾度となくついてきただろう嘘をどうしてそんなにドヤ顔で叩けるんですか?

全員が全員、確かなオリジナルの根拠を持って叩いているとは思えません。

ここである仮説が立つわけです。

  • 世間の人の怒りには2種類ある。

一つ目は「怒るだけの理由がある人」の本心からの怒りです。彼らは自分の本心から理由を持って怒ります。今回の場合、詐欺被害に実際に自分や知り合いがあった人でしょうか。

そして二つ目は、それを見た多くの「誰かが叩いているから叩く人」です。ネットを中心に不快感をあらわにします。ここには「もともとその人のことがあまり好きじゃなかった人」や「流されやすい人」が含まれています。
彼らは、自分が被害を受けたわけではないが社会的には悪いことをしたという宮迫に対して圧倒的に優位な立場だから叩く。さらに嘘がバレて相手は完全に後ろめたく反撃もできないから叩く。安全なところからなんとなくで叩きます。

この二次的に怒れる人たちをまとめて潜在的私刑犯と呼びましょう。多くの場合、この潜在的私刑犯の方が数が多いです。

こうして潜在的私刑犯の中で、怒りがどんどん伝染していきます。
もちろん、悪いことをしている側は反論なんかできませんし、いちいち個人を相手にしてもいられません。サンドバッグ状態です。
この安心感も伝染を加速させます。

そんな構図が出来上がっている気がします。

問題は怒りの伝染スピードです。Twitterでみるみるうちに拡散してしまう。
それゆえ過剰に怒りが伝わって、悪いことをした奴は昔以上に迅速に激しく叩かれるのです。

これが宮迫さんが契約解除にまで至ったカラクリだと考えます。

潜在的私刑犯、つまりはなりを潜めているいじめっ子たちですが、叩くやつは反応が見られる相手が良いです。自分が(一方的にでも)よく知っている人がいい。できればそんなに好きじゃなかった人がいい。自分より何か恵まれている人を叩きたい。

有名人はこれらの条件に非常にマッチします。
露出機会が多いので反応せざるを得ないですし、みんなから知られている。
お金をいっぱいもらっているとか、イケメンや美女と付き合っているとか、あるいは単に容姿端麗だったり、巧みなトークスキルを持っていたり。

こういう理由で有名人は常に潜在的私刑犯から叩く機会を狙われていると言っても良いでしょう。

レペゼン地球のドッキリについて

レペゼン地球というDJ集団がいます。このリーダーである、DJ社長という人物が事務所の後輩の女性にセクハラ、パワハラをしたとして19日に告発されました。

DJ社長は見た目や普段の行いも相まって、「キモいと思ってた」とか「最低」とめちゃくちゃに非難されました。

しかし、実はこれは女性側もグルで、活動休止していたレペゼン地球の復活に際した壮大な炎上商法だったと20日に明かされます。

これを受けた世間の反応は、「セクハラやパワハラをネタにするなんて最悪」「これからセクハラを告発したい人がしづらくなる」と批判にまたあふれています。そして、その怒りは飛び火して、一連の行為に賞賛の意を示した有名人まで叩かれ始めています。
わかるんです。そういう意見は社会的にとても正しい。その点については反論の余地はありません。

でも、待ってください。また、伝染しかけてませんか?

確かに、「セクハラやパワハラの告発を炎上商法の材料に使ってしまったら、羊飼いの狼少年ごとく、他のYouTuberやエンターテイナーが告発した際に炎上商法かと疑われてしまう恐れがある」。

でも、僕はこの理論で怒っている人の中に少なからず、1番の本心は「騙されて不快になった」「女性を心配していたのにコケにされて腹が立った」という人がいると思っています。

シンプルに「女性への心配を裏切られたから」とか「元からのアンチで意気揚々と叩いていたらまんまと騙されて煽られたから」とかで叩けばいいのに、プライドが許さないのか、それだと叩く優位性が得られないのか、社会的な理由を建前に使って叩いている人たちが絶対にいます。

そもそもドッキリの初動の嘘告発も「普段から調子乗って女をたくさん抱いてるから嫌い」「お金をいっぱいもらってるから嫌い」みたいな潜在的私刑犯たちが二次的にこれ見よがしに群がって叩いていたと思います。
この人たちがさらにコケにされて怒り狂って、でも悔しいから社会的正論を武器に叩いているのです。

社会的正論を武器にされると議論になりません。この一連の行為は賛否両論あっていいと思いますし、賞賛した人までもが叩かれるのは明らかに異常だと思います。
僕自身、情けないことにセクハラパワハラ被害者への思慮が少し浅く(実体験の乏しさからかもしれません)、初めは手放しで一連のマーケティング手法をあっぱれと感じました。

そして今は、叩いている人の意見も理解した上で、僕は、マーケティング手法という視点からはやはりすごいと思っています。
こんなことを言うと、正論を振りかざした人たちがお前は社会性のないやつだ、やばいやつだ、と寄ってくると思います。 しかし、社会的正論でマウントをとって欲しくないのです。
僕の意見は完全に無視なのでしょうか。 議論をして、この視点から見たここはすごいところだけど、ここはダメな点だよね、と冷静に分析することはできないのでしょうか。

正論を振りかざして叩くことと議論をすることは違います。

その違いを見極められる人が増えてほしいし、僕自身もそうなりたいと思っている。

7/26追記:
レペゼンのメットライフドーム公演が中止になったようです。
うーん。憶測でしかないですが、一度決まっていた公演が白紙に戻るというのは相当なクレームが入った、あるいは大きな権力から圧力がかかったと予想できます。
心配していた怒りの伝染が結局起こってしまったということですね。
個人的には今回の炎上騒動の代償として、すでに決まっていたドーム公演の中止が釣り合っているとは思いません。
宮迫さんの場合と同じで「やられたら倍返し」に近いものに感じます。

騒動への謝罪を求めたり、不快感を示すのはわかりますが、それに対する報復のようなことをする人、ましてその結果を見てTwitterで「よかった」などと言ってる人は、僕は理解することはできません。
改めて、現代社会の異常性を強く感じました。

今の社会はそういうものなんだと、宮迫さんにしろ、レペゼン地球にしろ、教訓にして次はリスクを考えて行動してくれることを望みます。

まとめ

もうけっこう前のドラマになりますが、リーガルハイというコメディ系法律ドラマにこんなセリフがあります。

本当の悪魔とは、束になったときの民意だよ

この通りなんです。
束になって、叩いたハンマーの威力は何よりも重い。
しかも今はネット社会です。恐るべきスピードでハンマーは大きくなっていく。

最近でも、3年A組というドラマでそのテーマを扱っていますよね?
そろそろ自分たちで気づいてもいい頃だと思います。

自分の中の対象を叩きたい気持ちは何からくるものなのか、自分はしっかりと信念を持って叩けるのか。
なんとなくでTwitterに投稿する前に、一度よく考えてみることが潜在的私刑犯を脱して、一人の意見主張者になる一つのきっかけだと思います。